検査と治療の流れ

栄養療法とは・・・すべての人の健康に役立つ「知識」
ココロとカラダの健康は何よりの幸せです。栄養療法の知識を身につけて、ご自身、ご家族の心身の健康に役立てましょう！

通常の保険診療は、病気の人の治療費を経済的にサポートする制度です。現在の医療は、臓器別に病気を診断し、「病気と認められて」から治療が始まります。ですから、調子が悪くなるとお薬でその症状を抑えますが、悪化を防いだり予防するという事には力を入れる制度ではありません。

栄養療法では、現代の医学で「病気」と扱われない「疲れ」や「やる気がない」「イライラする」などの症状、通常の医療では原因不明で薬がやめられない病気の根本的な原因に着目します。根本的な原因とは日々の生活習慣やストレス、環境中・食物中の有害物質などによる体の細胞の機能低下を指します。一言で言えばそれら根本原因を遠ざけることで、本来もつ体の「細胞」の機能を存分に発揮させる治療であり、体の細胞が元気になれば、薬に頼りすぎずより良い健康を手に入れることができるという考え方です。元気な人はより元気に、病気の人は自然治癒力を最大限に引き出して体調がよくなるよう（できればお薬が自然と減るよう）サポートします。
栄養療法で着目するのは「臓器」ではなく「細胞」ですから、臓器を切ったりはったり、強力な薬を使う事はしませんが、そもそも臓器は全て細胞でできていますから、細胞を元気にすると全ての臓器の機能がよくなるはずなのです。
また、体調不良の原因は人それぞれ。根本原因は一つではありませんし、つまづきの根深さも人それぞれ.
単に栄養を摂り足りていという方、栄養は摂っているが、有害なものも摂っている方、消化吸収能力が低下しているために食べているのに栄養障害が起こってしまう方、さらには脳のエネルギーを消耗しやすい思考ぐせのためにエネルギーを浪費して相対的にエネルギー不足になりがちな方・・・
栄養療法は、そんな1人1人のつまづきポイントを丁寧に見極めてじっくりアプローチする治療です。いわゆる薬のように短期間で劇的に「効く」ものではなく、日常の習慣に取り入れてじっくり取り組む覚悟が必要です。ですが、その気持ちさえあれば、担当医が親身になってとことんお付き合いします！
ただし、栄養療法は、西洋医学では改善しない症状を改善させる力を持っていると信じていますが、現在の医療の中では「治療」とは認められませんので、残念ながら保険制度の適応はありません。また、今現在すでに悪い臓器があったり、強い治療を受けている方は、勝手にお薬をやめると危険です。薬の調節は必ず主治医とご相談ください。

現代の食糧事情は様々な理由で栄養が抜け、添加物だらけの「偽のおいしさ」に溢れていて、気をつけていても知らず知らずのうちに有害物質を摂取し、誰もがビタミン・ミネラル不足です。まず身近な食事を見直してみましょう。

「疲れ」は「エネルギー産生能力の低下」です。炭水化物、タンパク質、脂質という3大栄養素からエネルギーを取り出すためには、3大栄養素はもちろん、ビタミン、ミネラルが不可欠です。


「精神症状」は「神経伝達物質の代謝」です。イライラや落ち込み、集中力がない、なども精神症状。神経伝達物質の代謝にも栄養素がとても重要です。神経伝達物質は蛋白質が分解されたアミノ酸から作られますが、その生成過程で、やはりビタミンとミネラルが不可欠です。

　神経伝達物質の代謝：原料はアミノ酸（タンパク質）
脳内で必要な物質を次々作っていく過程に多くのビタミン・ミネラルが必要です。


その他、体の機能を支えるホルモンの産生にも、子孫を残す性機能にも、ばい菌やウイルスなどの外敵から身を守る免疫、その他すべての機能に栄養が重要な働きをしているのです。そして「病気」とはそれらの機能に支障をきたした結果であり、原因不明の難病の多くに「栄養」がなんらかの関与をしていることが分かっています。
栄養療法は、必要な栄養素が十分摂れているどうかだけでなく、それを消化吸収する力がちゃんとあるかどうか、その働きを阻害する要因がないか、栄養を浪費する原因がないかまで、詳細に検討して、患者様一人一人に合った治療法をご提案する治療です。

胃腸機能
栄養療法においては、各栄養素の消化、吸収を行う胃腸の機能は大きなカギとなります。胃腸の機能が治療効果を決めるといっても過言ではありません。
胃はタンパク質を消化するのが仕事ですが、消化酵素や胃酸が不足するとタンパク質が消化できないばかりでなく、その先の腸環境の悪化につながります。
次に脂質の消化に必要な胆汁酸は、脂質のみならず脂溶性ビタミンの吸収にも不可欠です。その分泌には材料としての栄養素、良好な腸内環境が必要です。
そして大腸にはおびただしい数の腸内細菌が住んでいて、その種類、数、バランスが栄養素の吸収、毒物の排泄はもちろん、免疫状態や精神状態までも左右することが分かってきていて、腸内環境そのものを決めています。
注意が必要なのは、腸内環境が悪くても腸の症状を起こさず、倦怠感や疲れ、うつ病、アレルギーや自己免疫などの症状として現れることが少なくないことです。栄養療法では、そのことを考慮した検査や治療がたくさんあります。

ストレス・運動・低血糖
消化管の動きは副交感神経が支配しています。緊張やストレスが強い状態が長期にわたると、交感神経優位となり、消化管の動きが悪くなり、腸機能の改善が得られません。また、血糖の変動が激しい方も低血糖回避のために交感神優位となり、腸環境の改善が困難になります。
ストレスを減らし、血糖を穏やかに保ち、適度な運動をしながら栄養療法に取り組むことが重要です。

エネルギーの重要性
エネルギー＝カロリー。現在は痩せることがヘルシー、低カロリーがヘルシーというイメージが定着しすぎて、エネルギーの重要性がどこかに行ってしまっている感があります。エネルギーは生きて行く上で最も重要（エネルギーが全く作れない=死）であり、摂った食物からエネルギーがいかに効率よく作れるか、が健康を作る上で重要なカギになるのです。もちろん太りすぎ、カロリーの摂り過ぎはよくありませんが、なぜそうなっているのかを検証しないまま、単に摂取カロリーを減らすようなダイエットをして体重を無理やり減しても健康にはなませんし、長続きしません。栄養素からエネルギーを十分に取り出して使うことができる体は「元気」で、無駄に太ることはないはずなんです。

脳はエネルギー食い
脳は全身の重量のおよそ２％ですが、安静時でも消費カロリーは20％と言われています。この消費カロリーは脳の使い方次第で多くなったり少なくなったりするのをご存知ですか？怒り、不安、嫉妬、罪悪感、等は脳のエネルギーの消費を無駄に増やし、身体の健康の足を引っ張ります。一方、喜び、幸せを感じると脳のエネルギーはプラスに転じます。消費カロリーの多い脳のエネルギーの使い方を意識すると、消化機能が改善したりエネルギー代謝が良くなるのです。「病は気から」は本当です。
「幸せ」は状態であって事実ではありません。脳の使い方次第であなたも今すぐに幸せになれます！
なんだかあやしいと思われたかもしれませんが、実は栄養療法を極めていくと最後は心理に到達するのだと、思うようになりました。

栄養と心理を組み合わせた治療
「栄養」と「心理」は車の両輪です。PNTトレーナーは栄養療法を学んだカウンセラーが身体の生理機能を考慮に入れながら心理にアプローチする伴走役です。

検査
まずは詳細な問診：初診時に、患者様の食習慣、嗜好（間食・喫煙・飲酒）、運動習慣、睡眠状態、精神状態、疲労の程度、既往歴・投薬歴、お通じ　などに関する詳細な問診で、患者様の大まかな現状を把握し、どこでつまづいて健康を害しているのかを推測し、毎日のお食事のご指導をします。
その上で、患者様の状態、ご希望、ご予算と相談して下記のような検査（代表的なもの）をご提案致します。
［1］ 血液検査：通常の検診より詳しい栄養解析のための検査です。
　血液データを分子栄養学的に深読みすることで
・酵素の働き・ビタミン、ミネラル、タンパク質の過不足・活性酸素による酸化ストレスの有無・自律神経のバランス・血糖の変動、・胃酸の出具合・ピロリ菌の有無・消化能力・甲状腺機能・副腎機能・血糖調節能　などが推測できます。

［2］ フリースタイル　リブレ：組織液中のブドウ糖の濃度を常時モニター　
組織液中のブドウ糖濃度は、血糖値におおむね比例すると言われています。血糖の動きを細かく観察し、通常の血液検査には表れない血糖の乱高下（激しいアップダウン）がないか、低血糖が頻発しないかをみます。血糖の乱高下は血管障害の大きな原因になることはよく知られていますが、低血糖は交感神経の緊張・不眠を招き、気分の変調の原因になります。低血糖と高血糖は背中合わせなのです。

［3］有機酸尿検査
尿に排出される物質を見ることにより、・脳の働き・カビ毒などの毒素の蓄積・腸内細菌のバランス・エネルギー産生、神経伝達物質のバランスなど多くのことが分かります。

［4］オリゴスキャン：組織内の必須微量ミネラルの過不足、有害な金属である水銀やアルミニウムなどの蓄積の有無をみます。

［5］ 毛髪ミネラル検査
ミネラルの排泄経路である頭髪の根本約3cm（過去3か月間）に含まれるミネラル・重金属の量を見ることで、体内のミネラルの吸収状態・ミネラル輸送能、重金属の排泄力を見る検査です。

［6］ 各種腸内細菌検査：腸内細菌の種類やバランスを見る検査
腸内細菌は、免疫、ビタミンの産生・吸収、有害物の排除など重要な機能を担う主役です。腸内細菌の種類が減ってしまったり、悪玉菌が増えてしまうと、癌、感染症、自己免疫疾患、アレルギー、精神疾患など様々な病気が起こります。

［7］ 遅延型食物過敏性検査：食物に対するIgG抗体を測定する検査
遅延型食物過敏は現在保険で測定されるIgE抗体による即時型反応（蕁麻疹やアナフィラキシー）と異なり、ほぼ毎日食べる食物で、「疲れ、頭痛、集中力の低下、不眠、うつ」などという不定愁訴として片づけられがちな症状がゆっくり現れるため、わかりにくいアレルギーです。日本アレルギー学会の見解では、科学的根拠が確定していないという理由で有用性が公式に否定されています。
しかし、栄養療法の世界では、臨床的に陽性食物の除去により体調が明らかに改善することが多いことが知られており、個々の食物に対するアレルギーもさることながら、「リーキーガット症候群」という腸粘膜の微細な損傷の診断根拠になるとして有用と考えられています。「腸粘膜の微細な損傷」は内視鏡など通常の検査では分からず、腸自体の自覚症状が乏しい場合が多いため、気づかれてない事が非常に多いのです。しかし、腸内細菌を含む腸内環境の悪化の大きな原因となり、原因不明と言われる疾患の一因になっていることが少なくありません。
リーキーガット、遅延型フードアレルギーはそれ自体が病的と認識されず、疲れ、貧血、うつ、アトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギー、自己免疫疾患等症状が多岐にわたり慢性に続くため見逃されていることがほとんどです。
「リーキーガット」は、栄養療法の世界ではずっと以前から注目されながら、西洋医学界では永年科学的根拠なしと否定されてきましたが、近年DNAの解析が進んだことで腸内細菌の重要性が理解・注目されるようになり、多くの科学論文も出されるようになりました。

［8］ 唾液コルチゾール検査
コルチゾールとは腎臓の上にある小さな臓器、副腎から分泌されるホルモンです。いわゆる自前のステロイドホルモンです。ストレスに対抗、感染・炎症を防御、血圧・血糖の調節、甲状腺機能のサポートなど、生きて行くのに必要な様々な機能を支える重要なホルモンです。役割がたくさんあるので、例えばストレスや慢性の炎症が続いてホルモンが浪費されていると他のお仕事がおろそかになり、疲れやすい、アレルギー、風邪や感染症に罹りやすいなどの症状が現れ、やがては副腎の機能そのものが破綻をきたします。これを「副腎疲労」といいます。
コルチゾールは日内変動が多く、1回の血中濃度測定で過不足を判定することが困難です。そこで、1日4〜6回の唾液の検査によって日内変動も含めたコルチゾールの分泌状態を判定し、「副腎疲労」の診断や程度の判定をします。

以上は比較的頻度の高い検査です。このような問診と検査の結果をふまえ、食習慣・運動習慣の改善指導、思考パターンの改善を促すカウンセリングなどを行い、治療期間を短縮するために必要度の高い栄養素を医療用サプリメントによって補充するなどのご提案を致します。
何よりも、ご自分の健康管理はご自身で行う意識を持って頂くことが大切ですので、正しい知識を身につけていただくことが重要です。診察やカウンセリングだけで身につけて頂くのは不可能です。当院では定期的にセミナーを開催していますので、ご興味のある方は、お知らせをご確認いただくか、受付にてお尋ねください。